2006~2010のイタリア周辺やウサギやクルマや諸々の話。2018~は愛する老ワンコとインドに移住中。時々絵日記。リンクフリー。
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「映像は切り取られた瞬間からどうせ事実と違うわけだから、
だったら圧倒的な主観的事実でニュースが作られていくことは
僕はかまわないと思う。
むしろ魅力的なつくり手の主観を提示して欲しいですね。」
脚本家であり小説家だった野沢尚氏の言葉である。
2004年に自殺されていたとは知らなかった。(享年44歳)
***
野沢さんが亡くなるほぼ1年前に上演された芝居のDVDの副音声で、
野沢さんと演出した宮田慶子さん、音楽の岩代太郎さんの3人が
芝居を観ながらエピソードや苦労話などを語り合っている。
ある場面にさしかかったとき、野沢さんは言ったらしい。
「このあとの役所さんの台詞は、 私の思いのたけですからね。
みなさんちゃんと聞いてくださいよ、ほんとに。
後輩の脚本家にもちゃんと聞いて欲しいね」
役所広司演じる中年脚本家・晃一が、かつての教え子で愛人の
やはり若手脚本家・新子に語りかけるシーンだ。
「 いいか、祈りだ。それがないドラマはすぐに忘れられていく。
俺たちは悲しいことに、電波になって人々の間を
すり抜けていくようなものを作っているんだ。
このドラマがあなたにとって素晴らしい時間でありますように。
未来への希望でありますように。
観た後、周りの人に優しくなれますように‥‥
そういうドラマを受け止めてくれ、がっちりその手でつかんでくれと
強く祈らないでどうする。」
『顔の見えない相手よ。シャドーボクシングよ。
万人に対して祈れって言われたって‥‥。』
「だったら身近な人間だ。たったひとりのためでもいいから、
このドラマを見てほしいと、このドラマで心を揺さぶられてほしいと祈れ。」
***
「野沢尚」で検索していて偶然見つけたこのコラム、読んで感動して
思わず涙が出た。なんという純粋さと情熱・・・
でもヒトがネットで日記や記事を綴る理由の根本は同じなんじゃないかな・・・
おこがましいかもしれないけれど、大袈裟かもしれないけれど
多かれ少なかれ、そこには”祈り”が存在する気がする。
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