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☆2006年10月~南イタリアの アブルッツォ州vasto在住。 生まれてはじめての海外生活 に日々マイペースで奮闘中。
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2006~2010のイタリア周辺やウサギやクルマや諸々の話。2018~は愛する老ワンコとインドに移住中。時々絵日記。リンクフリー。
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一方、イタリアの学校も大きな問題を抱えている。
それはワタシたち日本人には理解し難い”移民”の問題と大きく
関わっている。
以下は毎月、イタリア在住の日本人向けに発行されている小冊子
「COME VA?」からの今月記事の抜粋である。
(ちなみに上記冊子のサイトを探して飛んでみたら、2002年
 のまま更新が停まっていた。(爆)おーい。)



2月の終わり、ミラノ市内のある小学校で、教師が生徒の「舌を切る」という事件が発生し、マスコミを騒がせた。
問題の教師は補助教員で、被害にあったのは7歳のチュニジア人の男の子だった。事件当日、担任は不在で当の補助教員が担当の生徒を補助していた。しかしある男の子が何度注意しても席に着かずおしゃべりを止めようとしなかったため、その子に舌を出させ、本物のハサミで傷つけたという。
このような事件を聞くと、「ひどい先生だ」という印象で一括りにされそうだが、イタリアの学校が置かれている現状に照らし合わせてみると「起こるべくして起こったか」という感も正直拭えない。

この国の教育制度が直面する問題について語る際、その筆頭にあげられるのが「外国移民の子供の義務教育課程への編入問題」だ。
過去3年間のデータによると、外国人学生は毎年6万人ずつ増え、2006年には総勢40万人を超えた。これは義務教育課程における学生総人口の5%に相当する。
更に外国人生徒の国籍は全191ヶ国にわたり、アルバニア・モロッコ・ルーマニアが上位を占める。ある州では生徒約10人に1人が外国人、しかもいわゆる発展途上国から生活の糧を求めて入国し、経済的に豊かなイタリアにて仕事を見つけた家庭の子供なのである。そしてその90%がイタリアの公立の学校を選択するというから、公立学校では1クラス20名とした場合、文化的・語学的に異なる背景を持つ子供達が、各クラス平均2名いる計算になる。

こうして毎年のように各国から流入してくる移民の子供達だが、イタリア政府の受け入れ態勢はどのようになっているのであろうか。教育・大学研究省が各学校に配布する「外国人学生受け入れ要項」によると、学校生活の中でイタリア語を習得させることを重視し「基本的に同年齢のクラスに編入する」「一クラス、あるいは一学校に外国人生徒が集中しないように振り分ける」「必要に応じて文化コーディネーターの要請を行う」などの事項は定めているものの、編入前のイタリア語習得特訓授業については言及していない。

但し、これからはあくまで政府側の示唆であり、実際の対応は各学校の自主規定に任されている。裏を返せば「外国人の子供はどんどん入れてください。ただ、特別な受け入れ態勢などありませんから、各学校で善処してください」というわけだ。すなわち、子供達は入国するや否や、周囲のものが何を言っているのかさえわからない”クラス”に文字通り放り込まれるのである。
ひとえに「外国人生徒」といっても、アルバニアや中国、モロッコなど言葉・価値観・宗教などあらゆる面において異なる世界からやってきているうえ、それまで学校というものを見たこともなかった子、戦禍を逃れて精神的にショックを受けている子、家族というのは名ばかりで全く放任されている子など、様々な国や家庭の事情を抱えている。

これらの子供達を受け入れ、実際にその教育にあたるのは誰か。それは今まで自国の生徒だけを相手に自国語で授業を行ってきた先生達だ。外国人移民の子供とイタリア人の子供が席を共にするクラス、しかも移民の生徒はイタリア語を全く解さず、先生はイタリア語しか話さない状況下で、先生方は一体どんな授業ができるのだろうか。実際、小学校レベルでは「編入されたアルバニア人の男の子が、授業中は着席していなければならないという決まりさえ理解できず、担任はそれをどうにかして分からせようと躍起になり、肝心の授業が御座なりになる」といった話をよく耳にする。外国人の生徒をできるだけ早く新しい環境に慣らすと共に、イタリア人生徒の編入生に対する偏見を除くのが「要項」の目的らしいが、現実には虻蜂取らず・・と感が強い。

このような状況に更に追い討ちをかけるのが双方の親たちだ。北東イタリアのある州の小学校では、「クラスにスラブ系の生徒がたくさんいて、肝心の授業が進まない」と、地元イタリア人の親達が子供達を外国人のいない私立校に転校させたという。南イタリアのシチリアにある小学校のあるクラスでは、外国人10人イタリア人7人と、外国人がイタリア人を上回っており「発展途上国の子供は不潔だ」といって、親が7人の子供の登校を拒否しているというニュースもある。一方のアラブ系生徒の親達も「宗教上、音楽は男子生徒にのみ教えるように」との注文をつけてきたり、アフリカ系生徒の親は「無料で子供を預かってくれるのなら・・・」と本人の意思は無関係で、さながらベビーシッター代わりのように学校の活動に参加させる先生泣かせもいるらしい。更に、外国人生徒の中には周囲で何を話しているのか、行われているのかが理解できず、次第に孤立していったりイジメの対象になったりと、生徒同士の間にも問題が生じている。

移民を長年受け入れてきたフランスやイギリスと異なり、イタリアではつい10年前まで田舎の町に外国からの移民が住み着くことなど考えられなかった。大都市の場合は学校が独自に努力して効果を上げているケースもあるが、教育に関しては全て地方自治に任され、一貫した受け入れ対策がない今、多くの学校は移民生徒への対応に手を焼いているのが実情だ。

冒頭に述べた「舌切り事件」で加害者となった補助教師は、過失傷害罪に問われ、文部大臣から即刻解雇を言い渡された。しかし彼女もまた「未然に事故を防止できる態勢を国レベルで作ろうとせず、事件が起こってから穴埋め式に処置を取る(その時だけ騒ぎ立て、事後何もしない)イタリア式政治」の犠牲者ではないだろうか。




長文になったが、これはまさにワタシや娘が毎日実感している問題
である。実際娘の通う学校のクラスにも、娘のほかにアフリカや
チェコなど東欧出身の親を持つ子供は数人いるし、ワタシの住む
ヴァストでは東欧が対岸となるアドレア海沿岸、港も近いという
こともあり、アフリカや東欧そしてロシア近辺の移民が非常に多い。

実際娘は昨年の秋にアルファベットも全く知らないまま、年下の学年
となる新2年生からスタートし、はじめの授業や宿題は他のイタリア
語のできる生徒とは違うものだったようだが、半年以上たった今は
他の生徒と同じレベルまで到達したようだ。
受けているのは午前中のたった約3時間の授業(国語(イタリア語)
・算数・英語)である。でもそれは少しでも教育に恵まれている日本
という環境で育ったおかげかもしれない・・・

日本という国は、今のところ”移民”という問題に直面していない。
しかしイタリアのみならず、他の国は抱え込んでいる問題なのだ。
ワタシも娘も、そんな学校や生活に溶け込める状況には程遠い。
そしてどこまで踏み込んでいいのかわからない。
外国のヒトをどこかで恐れ、拒否しているのかもしれない。
まだまだ戸惑うことばかりだ。







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